「鮨 さいとう」(☆彡)
Saitou
 アメリカ大使館の門前にあるようなミシュラン一つ星のお寿司屋さん。
 現在食べログ の寿司ランキングで全国1位になっているお店で、ミシュラン二つ星に輝いた「鮨 かねさか」の赤坂店が元です。

 6畳ないような小さなお店でカウンターに7席のみ。店主の目が行き届く範囲。鮨も丁寧で実に美味しい。写真撮影可能だったらもっと評価が上がるお店です。
 
住所:港区赤坂1-9-15 自転車会館1F
電話:03-3589-4412
定休:日祝日
営業:12時~14時/17時~22時
 
 自動車会館ビルも外に看板などはなく、駐車場出口の警備員の詰め所横のドアのすぐ裏手という不思議な立地にお店はありました。石壁に瓦のひさし、木の格子扉に臙脂の暖簾の店。小さな提灯が看板代わりのようです。
 中はとても美しくきれい。6畳もない小さなスペースは将棋の駒を横に引っ張ったような五角形をしており、天井には間接照明とダウンライト、両側の壁には棚、陶器が美しく飾られています。客席は横一列に7席のみで白木のカウンターです。白い布のかけられた背もたれ付の椅子は座るのに横の人が邪魔になるほどにきつきつにつめられています。
 そして中央のダウンライトの下にはステージのようにまだ若い店主が寿司を握ってお客と賑やかに談笑しています。普通の寿司屋ではなく、かなりこなれた雰囲気。

 

08年3月17日の来訪。

 敬愛すべき兄貴noodlesさんにお付き合いいただき、20時半の予約で訪問。
 最初に確認してみると、今まではよかったのですが現在は店内での写真撮影不可とのこと。先日、無断で雑誌に写真が掲載されたことが原因と店主は言う。ぼくらの撮影をこと断ることに対してはまったく理由にはなっていないと思いますが。無断掲載は雑誌社に文句を言うべきこと。単に気分を害しているから写真を撮られたくないというだけの話。それもとばっちり。この段階で再訪はないことが決定しました。
 
 おまかせでつまみから入りました。
 最初にカウンター上の皿に盛られたのは厚めに皮を切って決め細やかに摩り下ろした本山葵。甘さを感じるほどに
 
白エビ
 小さな小皿に細切りにした北陸産の白エビ。とても甘くねっとりしています。
 
白魚
 小皿に新鮮な白魚。醤油に最初から浸されていて、おろし生姜をのせています。悪くないけどそれほどよくも感じませんでした。
 

 酢で〆た鯖。ころあいの〆方で突出した感はない。

 
青柳の小柱の串焼き
 表面がしゃきっとした食感で美味しい青柳の小柱。つまみの間は塩の皿と醤油の皿を出してくれているのですが、つける必要はないですね。
 
煮鮑
 煮た鮑の切り身です。これが弾力あっておいしいだけでなく、栗のようなとても良い香りがしました。
 
ひらめ
 切り身のひらめです。後から出てくる握りは2日間置いて熟成させたものだそうです。これはよい浅い。さっぱりした感じがし、塩で食べるととくに美味しく感じました。
 
ミル貝の炙り
 炙ったミル貝。半分に切ってあって食べやすい。火を入れることでミル貝の旨味も凝縮されているようでした。
 
北海道産馬糞雲丹
 小皿で、小さな丸い酢飯の上に北海道産の新鮮な馬糞雲丹をたっぷりのせて山葵を添えています。雲丹の甘さはさすがです。ここではじめて口にする酢飯もよい塩梅。
 
子持ちヤリイカ
 中にとろりとした子とげそを詰め込んだヤリイカの煮込み。ヤリイカのみは結構弾力があって美味しいのですが、先日の「渥美」が素晴らしすぎたために、その子持ちヤリイカに比べるともうひと伸び欲しいと感じました。
 
 さて、ここから握っていただきました。酢は3年物の熟成された赤酢を使用しているとのこと。握りは丁寧で丹精こめています。やや小ぶりでちょうどよいバランスだと思います。
 斉藤氏は客席すべてに目を配り、お茶や飲み物の追加をすばやく指示するし、皿の煮きりは次に影響を及ぼさないようまめにふき取られています。

 
ひらめ
 握りはひらめからです。2日寝かせたものだそうです。じっくりした白身の美味さはさすがにひらめらしい。
 
しまあじ
 ひらめとは違って脂ものった白身の縞鯵。脂はのりすぎずほどほどな味がこの店らしい。
 
こはだ
 1枚で構成されたこはだ。丁寧な仕事は握りでも拝見できるが、こはだに施された仕事でも実感できます。酢の〆方が好みで、刻んだ大葉がシャリとの間に挟まれていたと思います。他の方のための握りを見ていたら、握ったシャリをひっくり返して皿に持ってある刻んだ大葉をつけていました。その後にネタをのせて握りなおしています。
 
赤身
 ここからがマグロです。マグロは他のネタと違って、脂を溶かす目的か、室温手前くらいまでまな板の上にのせていました。赤身はそのきめ細かな魚とは思えない質感がよい味わい。
 
中トロ
 この日一番良かったのは実はこれ。マグロの旨味とかわりゆく脂身の甘さが口の中で変化をもたらす。しつこすぎず絶妙な味わいでした。なるほど、この店のマグロは美味い。
 
大トロ
 大トロです。とろける味わいはさすがに温度管理までしっかりされているだけあります。
 

 真ん中に切込みを入れて、上にからし菜、下には大葉を仕込んだ鯵の握り。脂が多い分仕事が多くなったようです。新鮮でこれも美味い!!
 
炙り平貝
 包丁で切込みを入れて炙った平貝です。かすかに香る香ばしさ。
 
車海老
 茹でたての車海老は見ている前で殻をむき、握ってからは皿の辺縁に尻尾の先端が引っかかるようにして供される。なるほど見目良い置き方にもこだわりがあるようです。この海老はつややかで美しいだけでなく、中はレアな仕上がり。頭側には味噌も残っています。

さより
 旬のさよりです。
 
煮蛤
 甘いつめをぬって出される蛤。
 
スミイカ
 ざっくりいけるスミイカは塩ときめ細かな柚子の皮の粉末でいただく。新鮮さに自信があるとnoodlesさんがおっしゃられていました。
 
あなご
 2貫握ってくれます。それを振りかけた塩、そして甘いつめでそれぞれいただけます。
 ほっくりしていてやわらかく、表面はちゃきちゃきとした不思議な食感。塩もつめもどちらの良いが、潮のほうが鮮明に味わえてぼくは好き。

 
ネギトロ細巻
 これはぼくの追加オーダー。粗く刻んだトロを細かな万能葱とともに細巻きにしていただく。揃っていないところが驚きどころでした。細巻きにもつめを塗って出されるのですが、これは自分で醤油をつけて食べたかった。
 
干瓢細巻
 こちらはnoodlesさんの追加オーダー。とても甘い干瓢の巻物です。
 
玉子
 一切れ出される玉子は、外側が硬めで中はしっとりの焼き方。あま~くて、まるでイタリアのプリンのよう。
 
おしんこ
 白いおしんこは厚切りで、ざっくり美味しい。ゆずの皮を削った粉末がかけられる凝り方。
 
 さて、再訪はないものの総評は☆彡です。写真撮影不可ですので星を半分削ってのことですが、それを抜いても味と雰囲気で☆☆どまりかと。ほどほどの味。感動の味にはいたっていない。そういう意味で20000円という価格を考えればここは特別なお店ではありません。
 気になったのは領収書がなかったことです。ぴったりで出したためかな。仕事じゃないから無理に請求はしないけど、意識してものだったら気持ちよいものではないなぁ。
 
 ここで止まって欲しくはないですね。食べログの評価が高く特別な店という気持ちになっているための写真撮影不可に見受けられましたが、もう一度それでよいのか見直していただきたいです。