「日本料理 菱沼」(☆)
食育を重視する菱沼孝之氏の日本料理店。
大根のつまにいたる細部まで繊細に仕上げた和食は一度は味わっておきたいものです。
ワインとのマリアージュも開店当時から続けているそうですので、お酒好きな方にも良いかも。
住所:港区六本木5-17-1アクシズビルB1F
電話:03-3568-6588
定休:日祝日
営業:11時半~14時/17時半~23時
マットな黒とガラスで構成された店構えはこのフロア全体で統一され、店名やロゴは白く抜いて光っています。
ガラスの中に各店舗の特色があらわれますが、白木の障子を前面に押し出すところは和食らしい。ただ、その前においてあるのは日本酒ではなく、ワインのマグナムボトルというところがお洒落でしょうか。エントランスを入ったところからフロアは、テーブル席に落ち着いた空気が流れ、奥はカウンターで腕を振るう料理人の姿がそのまま見えます。
白木の柱に塗り壁、照明は間接照明とダウンライトとモダンですね。赤が印象的な絵と大きなお皿を飾っています。
07年4月11日の来訪。
入籍記念日のお祝いを3人でしようと、家内に「東京カレンダー for mom」から選んでもらったのがここ。子供は一緒に食べて当たり前という菱沼氏の考えには大変共鳴するところです。
子供もいるので端っこのテーブル席を用意してくれていました。子供用のチェアにランチョンマットとフォークにスプーン。このあたりの用意の良さはうれしいですね。
ぼくらの前には美しい白い和紙がしかれ、花の絵がなんとも綺麗。
一汁五菜 7000円
お昼の特選ミニ懐石は三菜、四菜、五菜とあるので、一番良いコースに。
付き出しは黄色い菱形の皿に蛍烏賊。酸味が穏やかでしっとり甘い酢味噌がかけられています。蛍烏賊は旬なようで中のわたまで美味しくいただける。一緒には茹でた菜の花。濃い緑色が鮮やかに黄色い酢味噌と対照されて映えます。
タラの芽の天婦羅。青い皿に白い和紙をしいて。盛り合わせではなく、純粋にタラの芽だけが盛られています。これがカラリと軽く美味しい。軽い苦味が程よく、中はしゃっきり歯ざわりが良いけど柔らかい。最初から適当に塩が振ってありますのでそのままにいただけます。胡麻油の香りも軽やか。さすがは旬の味。
黄緑色の空豆の擦り流し。焼いた鯛の身と桜餅が入ります。優しい味わいで空豆のほのかな香り。桜の葉を巻いた桜餅は季節柄でしょうね。下にはほっくりした鯛。淡白な旨味が空豆の汁にはぴったりです。
お造りは素焼きに見える器に。お造りは鰹でしょうか。しっとり滑らかで癖はあまり感じられません。大葉の下の大根のツマは菱沼氏自ら切っているというもので、極細ながらも均一で断面が切り立つ美味しいもの。普段は食べないのですが、これはすべていただきました。
海老しんじょう。蒸篭を模し、底に穴のある陶器の器に。蓋と台は木製です。
海老しんじょうがこれも桜の葉で巻いて蒸されていました。食感はプリッとしてツルンと食べられます。三杯酢で食べるようですが、そのままで美味しい。桜の葉の茎の部分はちょっと食べるのに邪魔だなと感じました。
河豚の唐揚げ。いかつい感じの陶器の皿に白い紙をしいて、上には河豚の唐揚げ3コ。骨付きで、淡白な身を熱々のまま歯で外しながら食べる。衣が幾分スパイシーな感じがします。
レモンが付いてきます。
鮭の粕漬け焼き。粕漬けとのことですが、焼くときに日本酒をそのまま振りかけているかのような強烈な香りと味。西京漬けはすきなのですが、これはちょっと苦手です。もちろん、お酒がダメなためです。
小振りの大根に麦味噌が付いてきました。コリッとしていてさっぱりの大根は葉も食べられるそうですが、表面のとげとげが痛くて食べるには難渋します。
食事は白い御飯、わかめと豆腐の味噌汁、香の物。鮭と一緒に出してくれたのがうれしい。もっとも、このあたりになると、娘が退屈しだして大きな声を出すためなだめるのに必死に。味わっていられません。
デザートは苺にカボチャのムース。カボチャのムースは良く味わうと、おお、カボチャだ、と納得する香りと味。やや口当たりがざらつくのもカボチャだからですね。その下には苺です。
子供のために出でてきたメニューは以下の通り。
1)オレンジジュース
2)甘い玉子焼きとトマトにインゲン。御飯は白胡麻を振っています。
3)空豆のすり流しに鯛の身
子供にも優しい和食は家内の好むところ。
ここでわかったのですが、成長して娘が騒ぐようになってきました。これまた一つの試練ですね~。